浄安寺様、畳交換、およびカーペットへの貼り替え工事
先月、下見の模様をお知らせした浄安寺様の、畳からカーペットへの貼り替え工事の模様をお伝えします。
既に、ご住職が読経されている間、檀家さんはこの畳の上に敷かれた赤いフェルト生地の上に並んだ椅子に座っておつとめするようになっています。
この度、全面的に畳の張り替えを行う時期となり、『椅子に座っておつとめされるのがメインであれば』ということで、カーペットに張り替えることになりました。
畳を上げたところです。
こちらから見ると、板が両サイドに渡してあります。
縦のラインはその板を支える角材が板の下に隠れています。
板と板の間になにやら白い線が見えますよね?
断熱という考え方が一般的になる前に建てられた建物の畳の下は、板と板の間に空間がありました。
畳の下に湿気がこもるのを避けるためで、梅雨時や夏場はその方が都合が良かったのでしょう。
しかし、冬場はいかんせん寒い。
そこで、数年前にその隙間を断熱材で埋める工事を行いました。
その跡です。
さて、この後、カーペットを敷くわけですが、畳約6cmの厚みに対して、カーペットはたった7ミリ。
そのまま敷いたら5.3cmという嫌な段差ができてしまいます。
裸足でつま先をぶつけた時のことを想像してみてください、痛いでしょ?
そんな嫌な段差を生じさせないように、床の底を上げます。
このように角材と荒板を使って、5.3cmの段差を解消します。
これで安心してカーペットを設置できます。
カーペットはサンゲツのタイルカーペット。
サンゲツと書くと、ピンときませんが、江戸時代に表具師として創業した山月堂がスタートで、老舗の内装材メーカーです。
『お寺にカーペット?』と思われた方もいらしたかもしれませんが、違和感なくスッキリ仕上がったでしょ?
椅子が並ぶことを考えると、こちらの方が自然ですよね、畳のように擦れた時の小さなチリも出にくいですし。
画像ではわかりにくいですが、このタイルカーペット、柄に合わせた浮造りになっています。
浮造りとは、材の表面の一部を浮き上がらせる仕上げの事で、板の年輪に間をこそげ落して、年輪だけを浮き上がらせる方法です。
歩いてみても滑りにくく、高齢の方も多いお寺さんにはピッタリではないかと思います。
さて、こちらは、畳から畳へ交換する脇の間です。
写真は、交換前の採寸をしていたところです。
奥だけ見るとよくわからないかもしれませんが、手前右手の交換前の焼けた畳と比べると一目瞭然、イグサの香りがしてきそうですね。
突然ですが、一般的な住宅で使われる畳と比べてみましょう。
全然違うでしょ?畳の縁が。
意識しないと気付かないものなのです。
一般的な和室の場合は畳縁といいますが、お寺さんで使われる畳は紋縁(もんべり)と呼ばれる特別な縁を使っていて、大変な手間をかけて仕上げるものなのです。
寄ってみましょう。
素敵でしょ?
大紋 白という色柄です。
こんな素敵な畳の縁だと気づいたら、そりゃ踏んじゃだめですよね。
浄安寺さんに行かれる際には、こんなところにも注視していただけると幸いです。